おすすめ小説1選!『殺人出産』村田沙耶香
あらすじ
今から百年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」で人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日、突然変化する。表題作他三篇。
読んでないけど感想!(ネタバレがあるかもしれない)
『コンビニ人間』で第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香の作品『殺人出産』。
4作が収録された中編集です。
内容としては表題作『殺人出産』が本の半分を占めており、もう半ページに『トリプル』、『清潔な結婚』、『余命』の3作が収録されています。
今回はタイトルにもなっている『殺人出産』のみ紹介したいと思います。
他の作品に関しては実際に読んでみてください。
その対策のために定められた、10人産んだら、1人殺せる制度「殺人出産システム」。
産み人となり10人目の出産が迫る姉を持つ会社員 育子が主人公です。
合法化される殺人。
主人公の育子はこの制度に良い感情を持っていません。
しかし、出産で忙しい姉の代わりに彼女の子供たちの世話をすることも多い育子。
5人、6人目の子供ともなると殺人のことなんて忘れて子育てに大忙しです。
そんな中最後の1人の出産が近づいてきた姉。
人を殺めるために子供を産んできたことを改めて認識する育子は、そこまでして殺したい人は誰なのかと気になりだします。
そもそも殺人と真逆の行為を10回も繰り返してきた姉の殺意は薄れているのではないかとさえ思う育子。
また自分の出生の理由を知り戸惑う姉の子供たち。
ドロドロした人間ドラマと姉がそこまでして殺したかった驚きの正体!
気になる人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
と言いたいところですが実は姉が殺したかったの人物の具体的な名前は作中では出てきません。
しかも10人の生と引き換えの殺人として、自分自身の死を姉が選んで物語が幕を閉じます。
衝撃的なラストを読んで改めて読み返してみると浮かび上がってくる、姉が本当に殺したかった人物。
あくまで想像の域ですが随所に隠されたヒントを読み解く限りこの驚愕の人物しかいないでしょう。
2度驚ける『殺人出産』。
他の3作も表題作『殺人出産』に勝るとも劣らない作品なので、興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか?
本当はコンビニ人間を紹介しようかなと思ったのですが読んだことがなかったのでこの作品にしました。
まぁこの作品も読んだことはないんですけどね。
価格:561円 |